龍谷山本願寺において、この度昭和52年に本願寺の法統を継承されて以来37年にわたり門主を務められた第24代即如ご門主がご退任され、第25代に専如ご門主が就任されました。その【法統継承式】が6月6日、本願寺御影堂にて行われ、全国各地より8千人の僧侶やご門徒方が参拝されました。
私は18歳の時に即如ご門主よりお剃刀をいただき本願寺の僧侶とならせていただき今に至ります。したがいまして退任にあたってのお言葉を直接聞くと、やはりさみしいもので、心より「ありがとうございました」という感謝の思いが込み上げ感謝のお念仏がこぼれるばかりでした。
さて、専如御門主はこの度「法統継承に際してのご消息」を発布。この御消息とは歴代のご門主さまが教義やおこころを広く伝えるために出されるお手紙であります。世界各地のご門徒に向けて出されたものであり、同時にこの私に話されたものであるともいえます。御影堂の中で、すぐお近くでお声を拝聴できましたことは、大変感慨深いものでした。下記のとおりです。
本日、私は先代門主の意に従い、法統を継承し、本願寺住職ならびに浄土真宗本願寺派門主に就任いたしました。
ここに先代門主の長きにわたるご教導に深く感謝しますとともに、法統を継承した責任の重さを思い、能う限りの努力をいたす決意であります。
釈尊の説き明かされた阿弥陀如来のご本願の救いは、七高僧の教えを承けた宗祖親鸞聖人によって、浄土真宗というご法義として明らかにされ、その後、歴代の宗主方を中心として、多くの方々に支えられ、現代まで伝えられてきました。その流れを受け継いで今ここに法統を継承し、未来に向けてご法義が伝えられていきますよう、力を尽くしたいと思います。
宗門の過去をふりかえりますと、あるいは時代の常識に疑問を抱かなかったことによる対応、あるいは宗門を存続させるための苦渋の選択としての対応など、ご法義に順っていないと思える対応もなされてきました。このような過去に学び、時代の常識を無批判に受け入れることがないよう、また苦渋の選択が必要になる社会が再び到来しないよう、注意深く見極めていく必要があります。
宗門の現況を考えます時、各寺院にご縁ある方々への伝道はもちろんのこと、寺院にご縁のない方々に対して、いかにはたらきかけていくのかを考えることも重要です。本願念仏のご法義は、時代や社会が変化しても変わることはありませんが、ご法義の伝え方は、その変化につれて変わっていかねばならないでしょう。現代という時代において、どのようにしてご法義を伝えていくのか、宗門の英知を結集する必要があります。
また、現代のさまざまな問題にどのように取り組むのか、とりわけ、東日本大震災をはじめとする多くの被災地の復興をどのように支援していくのかなど、問題は山積みしています。
「自信教人信」のお言葉をいただき、現代の苦悩をともに背負い、御同朋の社会をめざして皆さまと歩んでまいりたいと思います。
平成二十六年六月六日 龍谷門主 釋専如
この度のご消息のお言葉の中には厳しい箇所もありましたが、これはご覚悟と宗門の発展を切に願ってのことでありましょう。
昨年の鹿児島教区における親鸞聖人750回大遠忌法要にご門主さま御出座の際、『私はこれからこの方(専如さま)と共に歩んでいくのだな』と実感したのを思い出しました。この度のお言葉をしかと拝受し、微力ながら念仏弘通に精進させていただく決意を新たにすることであります。