手を合わす その姿

先日お通夜に参った時のこと。司会者の案内で葬儀場のホールに入場した瞬間、胸がじわ?っと熱くなりました。といいいますのも、ご本尊の横においてある遺影の写真が合掌をしている姿だったからです。あらためて手を合わす姿は理屈抜きに何とも有難いなぁと思うことでした。

親鸞聖人が選ばれた七人の高僧方の一人、インドの龍樹菩薩は、この世の中で一番美しい人間の姿とは何かというと、「合掌の姿」であると述べられています。
合掌すると自然と心が穏やかになってきます。手を合わせると喧嘩もできません。争い、憎しみの心も少しずつ減っていくから不思議です。
食事のときも合掌します。私の犠牲になってくれる多くの「いのち」に対して、また食材を調達し食事を作ってくれる人に対して、合掌して感謝と敬いの心を表します。

さて、保育園では仏参といいまして、日々子ども達とお参りをしますが、子ども達が歌う仏教讃歌の中に「手を合わせ」という歌があります。

手を合わせ
静かに  お目めを つむる時
うかんでくるよ  ののさまの
やさしい  やさしい  そのお顔

手を合わせ
静かに  お耳を すます時
聞こえてくるよ  ののさまの
みんなを  はげます  そのお声

いい歌ですね!
インドでは右手は「仏の手」、左手は凡夫である「私たちの手」といわれ、手を合わすことにより、仏さまと私が一つになるといわれています。
手を合わすその姿が、手を合わすその心が、仏の心に近づいていくのではないでしょうか。
万人が手を合わせながら日々を生きることができたならば、穏やかで誠実な日常が展開されるかもしれません。

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