来いよ来いよの親の呼び声

映画【かぐや姫の物語】の中で私の好きなシーンがあります。

翁と媼のもとで瞬く間に大きく成長するかぐや姫。
あるとき家の庭の外から村人の子どもたちが、かぐや姫のことを『竹の子、たけのこ♪』と呼び囃し立てます。その声に対抗するかのようにが翁は『姫、ひめ!』と力強い声で呼び続けます。(地井武男さんの演技の声が素晴らしいです)
そうすると、いったん庭に出たかぐや姫が、おぼつかない足取りですが翁の方へ向かいます。なにしろ千鳥足なので、翁としては転びはしないだろうか、ここまでたどり着くことができるだろうか心配で心配でたまりません。
姫を案じながら必死に呼び続け、子どもが自分のもとへたどり着く前に、もう翁の方が姫に近寄っていき涙ながらに抱き上げるこのシーン。
姫のことを思う深い愛情と、案じ続ける翁(親代わり)の姿をあらわすいいシーンです。

親である阿弥陀さまも、子である私たち衆生のことを思ってやみません。
『ここに親がいるよ』『来いよ来いよ』と呼んでくださる。
呼んでなお、親の方からこちらへ来てくださる。
歩みのおぼつかない子のために、私のために、ここへ来てくださる。

「南無阿弥陀仏」と呼んでくださるのです。
「ナンマンダブツ」ときてくださるのです。

【かぐやひめの物語】の映画を見ながら、ふと親さまの心、私なりに味わわせていただくいいシーンでした。

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