沖縄の地 平和への思い

 「今沖縄から伝えるべきこと」をテーマに、12月3日〜4日の2日間、【太平洋戦争全戦没者・沖縄戦終戦70年追悼法要】が沖縄の地にてご修行になりました。
 この御法要に際し、私共「鹿児島雅友会」に讃嘆衆(さんだんしゅう)として出勤のご依頼があり、会員15名が沖縄に参りました。追悼法要の会場は宜野湾市の「沖縄コンベンションセンター」、サミットやコンサートが開催される巨大な素晴らしいホールで、内陣に見たてたステージでは、沖縄特区内の僧侶の方々が結衆(けっしゅう)として出勤し、その横に鹿児島雅友会が讃嘆衆として座し、奏楽させていただきました。また会場には、門信徒をもちろん、石上智康本願寺派総長をはじめ全国の衆会議員の方々、九州地区の教務所長方がご参拝されておりました。
 次の日の4日は、糸満市の国立戦没者墓苑にて追悼法要があり、隣接する鹿児島県の霊園にも参拝し、また沖縄県平和祈念資料館やひめゆりの塔を見学する等、平和への学びを深めさせていただいたことでした。
 
 さて、尊い多くのいのちが犠牲となった太平洋戦争が終結して、今年で70年になりますが、先般もパリ連続テロやロシア機撃墜などおぞましい事件が記憶に新しいように、世界では今もなお紛争やテロが起こり、戦火が絶えることがありません。
 今日も沖縄の地は屈指の観光地の顔とは別に、未だ戦争の爪跡が深く残っている地でもあります。地上戦に至ったことから、私たちが想像もできない程の、まさしく言語を絶するような悲惨な状況があったに違いありません。しかし現在において、ひめゆり学徒隊など、沖縄戦を生ききってくださった方たちが、その体験を語る時代が終わろうともしています。過去の歴史ということだけで終わらせるのではなく、今こそ、必死に生き抜かれた方々の思いと、声と、願いを発信し広げていく必要があるのではないでしょうか。

 釈尊は『佛説無量寿経』において「兵戈無用(ひょうがむよう)」とお示しくださいました。武器も兵士も必要としない社会を構築していくには、み教えをいただき、まずは「我が身を知らせていただく」ことが大切です。阿弥陀さまの智慧の光に照らされ導かれ、我執に埋もれた、自己中心的な愚かな私に気づかせていただく。そして、権威や権力に動じず、国家や民族に捉われず、全てにおいて相互の信頼を保持できるような平和な社会を実現していくためには、どうしたら良いのか、どうするべきなのか、常に意識しなければなりません。私たちお念仏いただく仏教者として、常にみ教えに問い続け、仏教というフィルターを通してものごとを考えさせていただく、そういう姿勢が大切だと思います。
 この度、戦後70年を機に、沖縄の地を踏み、御法要を勤めさせていただいたことは、雅友会として、また一人の僧侶として大変有り難く、意義深いご縁でありました。あらためて、平和への歩みを進める一歩につながりました。

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