帰敬式とは“おかみそり”ともいい、阿弥陀仏また親鸞聖人の御前にて、浄土真宗の門徒として自覚をあらたにし、お念仏の教えに生きることを誓う儀式です。この式を受けると本願寺ご門主さまより法名が授与されます。
したがいまして、法名は亡くなられた方につけられる名前ではなく、あくまでも生きている時にいただかなければなりません。
この帰敬式は基本的にはご本山、すなわち京都の西本願寺にて行われます。またご門主さまが各地へご巡教に出られた時に行われる場合もありますが、なかなかその御縁に恵まれないこともありますので、その時はお葬儀の際、ご門主さまの代行として帰敬式を行いお手次のお寺から法名を授かることになります。
ちなみに、一般的には戒名と呼ばれますが、戒名とは仏教のあらゆる戒律を受けた人に与えられる名前です。たとえば有名な戒律として、生き物を殺さない「不殺生戒」またウソをつかない「不妄語戒」等々・・・
親鸞聖人は戒律をどれ一つも満足に守れないどころか、生きる中で罪ばかり作り続けている「罪悪深重の凡夫(ざいあくじんじゅうのぼんぶ)」の私であると、自らの煩悩の深さに気づかされ、真剣に真実の阿弥陀仏と向き合っていかれた方です。この親鸞聖人を宗祖とする浄土真宗では戒名とはいわずに法名と呼びます。
なお、戒名は長い方が良いと思いがちですが、浄土真宗ではそういったことは申しません。阿弥陀仏の御前ではすべてが平等でありますから、法名はいたってシンプル!
法名釋○○となります。それは親鸞聖人が【釋親鸞】と名乗られたことによります。
聖人はお釋迦さまによって説かれた仏教、特に南無阿弥陀仏のみ教えがインドから遙か遠いこの日本に伝わってきた、それも長い年月を経て多くの人たちによって伝えられてきたおかげで今 自分も遇うことができた。それも真の仏弟子になることができたというこの上ない慶びから釋の字をいただいたのであります。ですから釋の字はお釋迦さまの仏弟子の一人になるということ、そればかりではなく聖人のご門徒としての名字であるとも味わえるのでないでしょうか。
法名とは まさにお念仏者の証、お法(みのり)に生かされる名前でありましょう。
皆さまそれぞれに有り難い御縁で浄土真宗の門徒となり、親鸞聖人のお念仏のみ教えに出遇いました。その御縁をいただき、できるならば生前に帰敬式を受け法名を授かりましょう。